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日常清掃の手抜き対策とは?清掃品質インスペクターが解説します

 

 

「業者に日常清掃を依頼しているが、あまりきれいになっていない…」そんなお悩みはありませんか?または「清掃の質の悪さを担当者に相談しても一向に改善されない…」とお困りではありませんか?

 

コストをかけて清掃業務を外注していても、あなたの求める品質に届いていないのであればお金をドブに捨てているようなもの。せっかくなら清掃業者と互いにWin-Winの関係を築きたいものですよね。

 

そこで、今回は清掃の知識がなくても簡単にできる日常清掃の手抜き対策と、当社が実際に現場で使っている「品質チェックシート」をご紹介します。

 

残念ながら、あなたが「不潔」と思うポイントを清掃従事者が自主的に改善してくれるケースは多くありません。この記事では日常清掃の品質改善手順を解説していますので、現行業者と課題を共有し、品質改善にぜひともご活用ください。

 

 

<本記事について>

 

 

この記事は公益社団法人全国ビルメンテナンス協会が定める「建築物清掃管理評価資格者(通称:品質インスペクター)」である私西村が、自社での日常清掃管理のノウハウを盛り込んで具体的に解説しています。

 

 

 

 

 

 

日常清掃が手抜きでは?と感じる原因

結論、清掃が行き届いていない原因は以下の2つに大別されます。

 

※今回は分かりやすく解説するため「オフィスのトイレ清掃」において「換気扇が汚れている」というご指摘と仮定いたします。

 

 

 

 

原因1.そもそも清掃していない

まずは、「そもそも換気扇の清掃をしていない」という原因が考えられます。お客様にとっては「?」と感じられることでしょうが、清掃現場ではよくある話の1つです。

 

 

1-1 清掃範囲に含まれていない

 

日常清掃を業者に委託する場合、契約書に「清掃仕様書」を添付することが一般的ですが、その清掃仕様書に換気扇清掃に関する記述がないまたは「清掃は手の届く範囲までとする」といった記述になっていることが考えられます。

 

 

1-2 契約に含まれているが清掃従事者に伝わっていない

 

業者側の教育担当者が清掃従事者に換気扇が清掃対象であることを伝え漏れている可能性があります。これは退職等によって清掃従事者が変わる際に新任スタッフに引き継ぎができていないことで起きるケースがほとんどです。

 

 

 

原因2.清掃しているが不十分である

次に「換気扇の清掃はしているものの、きれいになっていない」という原因が考えられます。

 

 

2-1 清掃方法が間違っている

 

清掃とは汚れの種類に応じて清掃方法を使い分けるのが当たり前で、換気扇に埃が蓄積しやすい場合はこまめに静電気モップで除塵する、油汚れがついている場合は洗剤を使って洗浄しなければきれいさは保てません。また、清掃従事者にそういった清掃方法を十分に教育できていないことも考えられます。

 

ちなみに、固着している汚れは日常清掃では除去しきれないことが多く、専門的な技術を持ったスタッフによるクリーニングが必要です。

 

 

2-2 汚れる早さと清掃頻度が合っていない

 

前述の清掃仕様書には「清掃頻度」に関する取り決め(換気扇清掃は月1回実施、など)がなされていることが一般的ですが、契約段階での想定より換気扇の汚れるスピードが早いことが原因となり得ます。

 

 

2-3 清掃従事者の清掃が雑

 

清掃品質のご指摘において最も多いのが清掃従事者の清掃が雑であるという点です。原因は清掃従事者に対する教育不足十分な清掃時間が確保できていない清掃従事者の意識や能力の問題など多岐に渡ります。

 

 

 

手抜きな日常清掃を改善する3つの対策STEP

では、日常清掃の品質を改善するためには具体的にどのような対策を講じればいいのでしょうか。弊社では下記の3つのSTEPで対策を進めることを推奨しています。

 

 

対策1.清掃業者に改善を依頼する

一見当たり前のように思われるかもしれませんが、お客様の中には清掃に関するご不満があっても清掃業者に改善を求められていないケースがあります。

 

清掃従事者からの自主改善を期待するのではなく、お客様側からしっかりと改善を依頼することが大切です。

 

 

対策2.改善報告を受ける

清掃に関する改善を業者に依頼した後は以下の2つの観点から改善報告を受けましょう。

 

 

2-1 応急処置

 

現状汚れている換気扇について、まずは企業としてどういう対応をしてくれるのかを確認しましょう。清掃不備に関しては無償で清掃対応するのが一般的ですが、前述の「清掃範囲に含まれていない」ことが原因の場合は追加清掃の見積りを出されることがあります。

 

 

2-2 根本改善 ※最重要

 

業者に改善を依頼すると、応急処置によって一時的に美観は回復します。ですがさらに突っ込んで、換気扇の美観を維持するために具体的にどういう改善をするのか(いわゆる再発防止策)の報告を受けましょう。この根本改善の善し悪しが日常清掃業者の実力と言っても過言ではありません。

 

 

根本改善のポイント① 「便利語」を使って取り繕っていないか

 

「便利語」とは、当社で使っている造語で「~を徹底する」「~するよう注意する」といった「具体的に何が変わったのかが分からない曖昧な言葉」を指します。

 

改善内容に便利語が使われていると、品質悪化に至った原因の仮説がなされていない場合が多く、根本的な品質改善につながりません。

 

 

<便利語を使った改善報告の例>

・「社内の品質管理を徹底します

・「スタッフにしっかり清掃するよう注意します

・「清掃道具を見直します

 

(余談:社内向けブログ「これからは気をつけます」を使わない

 

 

根本改善のポイント② ルールや行動が改善されているか

 

繰り返し品質悪化を招かないようにするためには具体的なルールや行動を改善する必要があります。主には品質悪化の原因の仮説が立てられ、「回数・頻度」や「手順・ルール」、「道具・洗剤」などが改善されているかをチェックしましょう。

 

 

<ルールや行動の改善報告の例>

・「月に1回、本部担当者に清掃状況を確認させます」

・「換気扇の清掃は月に1回から週に1回に頻度を増やします」

・「洗剤を油汚れ用洗剤に変更します」

 

 

<参考事例>

当社で実際にあったご指摘に「ごみ箱のごみを回収できていない」というものがありました。原因を「週に1回(毎週水曜日)にしか回収しないため忘れやすい」と設定し以下のような対策を行いました。

 

①チェックリストにごみ回収の項目を追加する

②毎週水曜日に本部担当者がグループラインに「ごみ回収の日」である旨を通知する

③清掃従事者はごみを交換した後のごみ箱を撮影し、グループラインにあげる

 

1ヶ月ほど継続した結果、全スタッフに水曜日のごみ回収が習慣化され、同じご指摘を受けなくなりました。

 

 

対策3.インスペクション(品質評価)を行う

清掃品質の具体的な改善報告を受けた後は、お客様の視点で本当に改善がなされているかのインスペクション(品質評価)を実施しましょう。

 

 

インスペクションの手順① チェックする内容を決める

 

依頼している清掃範囲を場所別(「トイレ」「給湯室」など)に区分した後、清掃対象物別(「便器」「換気扇」など)に分類します。まずは改善依頼をした場所に設定しましょう。

 

【例】

・場所:1F男子トイレ

・清掃対象物:小便器、大便器、洗面台、床、換気扇、天井、その他(臭いの有無など)

 

 

インスペクションの手順② チェックシートをつくる

 

チェックする内容が決まったら、次はその内容をチェックシートに落とし込みます。品質を数値化するために各項目を「良い(2点)、普通(1点)、悪い(0点)」と採点するための欄と状況を記入するための特記事項欄を設けましょう。

 

 

インスペクションの手順③ チェックを実施する

 

チェックシートができたら実際にチェックをしてみましょう。あまり深く考えず、あなたの主観で「良い(2点)、普通(1点)、悪い(0点)」と採点してください。特記事項欄には汚れの種類や程度などを記入します。

 

【例】

1F男子トイレ

項目 評点 特記事項
小便器 1点 便器の内側に黄ばみあり
大便器 1点  
洗面台 2点  
1点 黒ずみあり
換気扇 0点 埃が堆積している
天井 2点  
その他 1点 若干臭いあり

 

※特記事項を記入した対象物の写真を撮っておくと将来的な改善に役立ちます。

 

 

インスペクションの手順④ 清掃状況を数値化する

 

チェックができたら「良い(2点)、普通(1点)、悪い(0点)」の数を集計します。チェック項目数×2点を満点とし、集計した合計点で割ることであなたの清掃満足度を算出することができます。

 

【例】

合計点8点/7項目×2点=14点満点 → 8点÷14点×100≒あなたの清掃満足度57%

 

※品質評価を定期的に実施することでデータが蓄積され、より清掃品質の傾向を掴みやすくなります。

 

 

インスペクションの手順⑤ 結果を業者と共有する

 

インスペクションの結果は清掃業者と共有し、品質改善を依頼しましょう。このとき、前述の「応急処置」と「根本改善」の2つの観点で改善を進めていくとより効果的です。

 

 

 

まとめ

 

日常清掃の品質に不満を感じた場合、清掃業者に対して「具体的に不備を指摘し、具体的な改善を求めること」が非常に重要です。

 

もちろん清掃業者が自主的に清掃管理のPDCAを回してくれることが理想ではありますが、この点は業者格差が生まれやすいポイントでもあります。ぜひお客様自身も清掃管理に関心を持っていただき、施設の利用者全員が快適にお過ごしいただける空間づくりにお力添えをいただければ幸いです。

 

また、今回ご紹介したインスペクションという手法は意外と奥が深く、お客様にとってはかなり面倒に感じられるかもしれません。ですが施設の安定した綺麗さを保つためには非常に有効な手段ですので、一度実施をご検討いただけると嬉しく思います。

 

 

最後に、当社が現場で実際に行ったセルフインスペクションの「品質チェックシート」を添付します。1回目と2回目で品質が大きく改善されていることが大きなポイントです。ご興味のある方はぜひご一読ください。

 

品質チェックシート(実例)を見る

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