アマノの清掃ロボット|ロボット床面洗浄機EGrobo|体験会レポート
アマノの清掃ロボット|ロボット床面洗浄機EGrobo|体験会レポート
こんにちは。西村です。
先日、アマノの清掃ロボット「EGrobo(イージーロボ)」の体験会に参加してきました。しっかりとQ&Aできるようにと体験会は1枠1社という企画。細かなところまでアマノさんにお伺いできる貴重な時間を過ごすことができました。
さて、今回は体験会でアマノさんにお伺いした内容をもとに、当社での検討結果をお話ししたいと思います。
アマノの清掃ロボット|メリットは?
(基本的なマシンのスペックはメーカーサイトをご覧ください)
はじめにお断りしておくと、当社ではまだ自動床洗浄タイプの清掃ロボットを運用したことがありません。そのため下記の内容は類似製品との性能比較ではなく、「これは便利!」といった僕の主観をご紹介させていただいたものであることをご了承ください。
特長①:ティーチング方式(手押しで動かした通りに動く)なので誰でも簡単に使える
清掃範囲のレイアウトがほぼ固定の場所での運用なら、断然ティーチング方式でコースを登録するのが簡単です。EGroboはティーチング方式でコースを登録できるので、誰でも直感的にコースの登録の仕方を理解できることに加え、清掃完了時間のブレが少ないため作業工程を組みやすい、というメリットがあります。
マキタの新型ロボットクリーナーのような「ランダム走行」の清掃ロボットは、使用者自身も清掃ロボットがどう動くか計算できないので、導入から戦力になるまで時間がかかってしまうのが難点です。その点、ティーチング方式のEGroboは、導入からすぐに戦力になってくれると思います。
特長②:登録ルートのスタート地点とゴール地点が違ってもOK
ルンバに「ホームベース」があるように、ほとんどの清掃ロボットは設定された範囲の清掃が完了するとスタート地点に戻るのが一般的です。その場合、「スタート地点に戻るために清掃が終わった場所も通行するから無駄が多い」というデメリットがありますが、EGroboはスタート地点と全く別の位置をゴール(=最終停止位置)として登録することができるので、次の場所の清掃にとてもスムーズに移行できます。
特長③:複数の清掃ルートを組み合わせ、続けて清掃させることができる
EGroboは「1つ目の清掃ルートのゴール地点」と「2つ目のスタート地点」を同じ場所にすることで続けて清掃(=1つ目の清掃ルートが終わったら、自動的に2つ目の清掃ルートを自動的にスタート)することができます。
この機能によって、あらかじめ清掃場所を細分化しておけば、清掃場所の一部がレイアウト変更があった場合でもルートの再設定する手間が圧倒的に少なくできます。
ちなみに、EGroboは最大20件の清掃ルートを登録することができるそうです。
特長④:障害物があって通れないとき「そのコースを飛ばして洗浄を再開する」
今回、EGroboが1番すごいと思った点がこれです。
ソフトバンクロボティクスの清掃ロボット「Whiz(ウィズ)」は、「コース上に避けて通れないほどの障害物がある」場合、エラーとなり作業を停止してしまいます。
しかし、EGroboは迂回できないような障害物があった場合でも、その場所を飛ばしてコースの途中から洗浄を再開することができるのです。この機能を使いこなすには清掃ルートの登録をする際に少しコツがありますが、現場のイレギュラーをフォローする素晴らしい機能だと思います。
アマノの清掃ロボット|安全性は?
清掃ロボットを現場に導入する際、施設のオーナー様が最も気にされる点は何と言っても「事故のリスク」です。安全面の観点から清掃ロボットの導入が一切許可されないこともザラですので、僕たちのような清掃業者は清掃ロボットの事故リスクを絶対に把握しておく必要があります。
ちなみに当社で運用しているWhizは、今のところ現場で人にぶつかったという事例はありませんが、ある特定の状況では物損事故につながる可能性がゼロではありません。Whizより大型なEGroboの場合はどうでしょうか。
結論、以下の3つのパターンで物損事故が起こる可能性があります。
ただし、これらの問題はEGroboに限ったものではなく、現状の清掃ロボットのほとんどに当てはまります。現場で清掃ロボットを運用する際には以下の3点を必ずチェックしましょう。
ケース①:フロアスタンドなどの細い什器備品にぶつかる
スーパーなどでポップを吊るすのによく使われているフロアスタンドですが、清掃ロボットにとっては非常に厄介な存在です。メーカーによるとEGroboのセンサーは「2㎝以下の障害物が認識できない」らしく、例え通路のど真ん中に置かれていたとしても細長いフロアスタンドのような什器備品に気づくことができません。マシンにぶつかるまで障害物として認識しないので、フロアスタンドなどの細い什器備品の場所は日々チェックしておくが必要があります。
ケース②:スクイジーに紐や什器の足が引っかかる
僕は昔、ショッピングモールの閉店後清掃で物損事故を起こしてしまったことがあります。搭乗式の床洗浄機を運転して通路の洗浄をしていたところ、閉店後の店舗に入れないように吊るされたネットがリアスクイジーに引っかかり、気づかずそのまま走行してしまったのです。搭乗式洗浄機のパワーで引っ張ったため、ネットを吊るすために設置された天井のフックが破損。オープンしたばかりのショッピングモールで最初の事故を起こしてしまいました。
残念ながら、清掃ロボットのセンサーはスクイジーには搭載されておらず、同様の事故が起こり得ます。さらに、EGroboは床から高さ20㎝ほどが死角となるためネットが床に垂れていても気づかず、避けることができないのです。清掃ロボットはショッピングモールなどの広い現場で使われることが多いと思いますが、閉店後にネットをかけるようなテナント前の通路はあまり端まで近づけないように注意が必要です。
ケース③:低い位置に飛び出した什器備品の足にぶつかる
看板スタンドように低い位置に足が飛び出している什器備品にも注意が必要です。前述の通りEGroboは床から高さ20㎝ほどが死角となるため、什器備品の飛び出した足部分は認識できません。足がバンパーセンサーに衝突してはじめて障害物として認識するため、衝突した際に什器備品を倒してしまうことが考えられます。足が飛び出している什器備品周辺はある程度スペースを余分めに避けるようなルートを登録する、といった対策を講じるようにしましょう。
アマノ 自信の対人安全性能
とはいうものの、前述の状況以外での安全性はかなり高いのでは、と思っています。
EGroboは「一時停止」または「迂回」することで人や物との接触を避けますが、特に一時停止の反応速度が速く、EGroboの前に急に人が飛び出してきたとしても接触することありません。例えわざとぶつかりにいったとしてもバンパーセンサーが即座に反応して停止するので、接触による衝撃を最小限に食い止めてくれます。また、方向転換するときなどに音声案内が流れ、周囲に対する注意喚起をしてくれるところも特徴です。
EGroboは基本的に施設の営業時間中に稼働させるタイプの清掃ロボットではなく、人がいる状況下での実績が少ないのかもしれません。しかし、EGroboは発売以来、人との接触事故の事例はなく、メーカーとしても対人の安全性は相当な自信を持っている、とのことですので、「清掃ロボットの安全面が不安…」という方でも安心して導入できるのではないでしょうか。
アマノの清掃ロボット|価格は?
かなり充実した機能を搭載しているEGroboですが、「自動床洗浄ロボット」であることを考えるとおいそれと導入できない価格であることは想像がつきます。
アマノさんから機能面に関する説明を一通り受けた後、ストレートにお伺いしてみました。
「EGroboを導入すると月々のコストは概算でどれくらいかかりますか?」
「60ヶ月リース&メンテナンスパック込みで月額13万円〜14万円のコストがかかります。」
とのことでした。正直、想像よりも数万円高かったです。
結論:アマノの清掃ロボット エヒメアイムサービスとしては不採用
個人的に清掃ロボットの導入の壁は何よりも「価格」だと思っています。もちろん各社の課題や管理する物件の規模にもよりますが、今回は当社にとってコスト増によるデメリットの方が大きいと判断しました。
例えば、現場で清掃スタッフが毎日2.5Hかけて床面の洗浄作業を行う場合の人件費は時給1,000円×2.5H×30.4日/月=76,000円と、EGrobo導入と比べると60%程度のコストで済みます。
メーカーが清掃ロボットの必要性をプレゼンするときには「人手不足の解消」をテーマにして推してきますが、例え時給を1,500円にしても114,000円で済むことを考えると、人手不足の解消を目的とするのであれば清掃ロボットを導入するより時給を上げて募集する方が早いという結論になるのではないでしょうか。
当社のようにショッピングモールや空港といった大規模物件の管理をしていない中小企業にとって、まだまだ清掃ロボットの導入はコスパが悪いと思います。今後、各メーカーからよりリーズナブルな清掃ロボットが発売されることを期待しています。